医療を通じて地域の穏やかな日々を支えます
昭和55年に開設以来、杜医院は藤江に育てていただきました。この度、父が愛するこの地の穏やかな日々を私も微力ながらお支えしたく、引き継がせていただくことになりました。
― 真の患者ファーストを目指して ―
1.患者さんの尊厳を守る
四苦(生・病・老・死)は誰にも平等に訪れます。患者さんは藁(わら)にもすがる思いであり、一番見せたくない弱った姿を私達に見せています。どんなに会社で偉くても、どんなに普段はおしゃれをしていても、病気の時は弱音も吐くし、パジャマで過ごすことでしょう。私達は患者さんの砦(とりで)となるとともに、目の前の弱った姿が本来ではなく、元気な時の姿に想いをはせて、人間としての尊厳を守ることに努めます。
一方、最期の瞬間まで自らの口で食事を摂り、自らの足でトイレに行きたいという思いは、究極の尊厳とも言えるのではないでしょうか。今後、私達は心臓リハビリテーションの導入を予定しており、藤江の健康寿命*の延伸に少しでも貢献したいと考えています。
※健康寿命:健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間。平均寿命から寝たきりや認知症など介護を要する状態を差し引いた期間のこと。
2.科学的根拠に基づいた医療を提供する
-高く心を悟りて俗に帰るべし(高悟帰俗)-
高校生の時に出会い、大切にしてきた言葉です。松尾芭蕉の俳諧の精神とされ、その本質は現実から出発しながら、一旦突き放し、廻り道をしながら、再び現実に帰ってくるところにあるというものです。私は大学で長年、臨床の場にどのように還元できるかを考えながら研究生活を送ってきました。これからもたゆまぬ学びを続け、科学的根拠に基づいた最良の医療を提供できるよう努めます。
3.命と謙虚に対峙する
一方、科学を通じて自然の摂理の偉大さを辿(たど)ることは出来ますが、科学は我々を四苦から解放するほど万能ではありません。最期まで地域で安心して暮らせるよう、かかりつけ医として全人的医療の提供に努めます。
これらのモットーに基づいて、地域医療の向上および福祉の増進に貢献できるよう精進いたします。